
第二次世界大戦後、世界経済は、「最も安く、最も効率的に作れる場所」でモノを生産し、グローバルに分業することで成長してきました。
しかし近年、その前提が大きく揺らいでいるように感じます。
国際機関は十分に機能しているとは言い難く、同盟国と思われていた欧州とアメリカの間にも、目に見える形で亀裂が入り始めています。(欧州は対ロシアの安全保障で米国に依存している手前、最後はアメリカの言いなりにならざるを得ないとは思います。)
地球規模の課題を協調して解決していく世界から、各国が自国の都合を優先する世界へ。
そんな転換点に、私たちは立っているのかもしれません。
国際機関の弱体化と「戦争のブレーキ」が外れる世界
国連などの国際機関は、本来、大戦の反省から生まれた「戦争を防ぐための仕組み」でした。
対話とルールによって、国家同士の衝突を抑えるブレーキの役割を担ってきたはずです。
しかし、そのブレーキが少しずつ効かなくなっているように見えます。
ルールよりも国益が優先され、合意よりも力関係が前面に出る世界では、
紛争や戦争が起きやすい環境になっていくのは自然な流れとも言えます。
効率から政治へ|ブロック経済がもたらすインフレ圧力
世界が政治主導で分断されていくと、経済圏はブロック化します。
そうなると、「一番安い国で作る」という選択肢は取りにくくなります。
多少高くても、価値観や安全保障を共有できる「パートナー国」から調達せざるを得ない。
これは効率の低下を意味し、モノの価格が上がるのは避けられません。
さらに各国は、国民の不満を抑えるために財政出動や給付金といった「ばらまき政策」を選びがちです。
非効率なブロック経済 × 財政拡張。
この組み合わせは、構造的なインフレ圧力を生みやすい環境だと考えられます。
インフレは一時的か、それとも続くのか
「いずれインフレは収まり、またデフレに戻る」という見方もあります。
しかし、ここまで見てきた構造変化を踏まえると、
デフレに戻るよりも、インフレが続くシナリオの方が現実的ではないでしょうか。
特にアメリカでは、国債の利払い負担が財政を圧迫しています。
利下げを強く志向する背景には、財政の持続性という切実な問題があります。
もしインフレが完全に収まらない中で金融緩和を続ければ、
通貨価値の下落は避けられません。
日本も例外ではない|「財政引き締め」が選ばれない政治
日本を見ても、増税や歳出削減といった財政引き締め策は、国民から不人気で、政治的に選びにくい。
レイ・ダリオが指摘するように、
「借金は、財政の引締めではなく、通貨価値の毀損によって実質的に圧縮される」
というシナリオが、現実味を帯びているようにも感じます。
最大の犠牲者は「現金」
このような環境で、最も不利になる資産は何か。
それはおそらく、現金です。
実際、すでに金(ゴールド)への資金逃避は始まっていますし、
この流れは簡単には終わらないように見えます。
ただし、この見方自体は、すでに「メジャーなシナリオ」になりつつあるとも感じています。
その先へ|まだ顕在化していないリスクを考える
重要なのは、ここから先です。米国債がすぐにデフォルトするとは考えにくく、アメリカの覇権が一気に崩れるとも思えません。
米ドル離れが語られてはいますが、代替となる基軸通貨が用意されているわけでもなく、日本をはじめとした、世界中の政府が依然として米国債を保有しているからです。
つまり、これは「崩壊」ではなく、
数十年単位で進む、ゆっくりとした構造変化なのではないでしょうか。
すでに語られているインフレシナリオのさらに先、
まだ市場に織り込まれていないリスクや変化を考える必要がある。
そんな問題意識を、最近感じています。
金の上昇はまだまだこれからも続くとして、その先のシナリオって何でしょうね?


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