すべての通貨は切り下げられるか、死んでいく。
先日ヘッジファンドマネージャー、レイ・ダリオ氏の著書『世界秩序の変化に対処するための原則 なぜ国家は興亡するのか』を読み興味深い一説がありました。
ポチップ
これは政治家が債務と金利支払いの問題を対処するために貨幣を増発し価値を切り下げる選択を取りやすい、ということ。
債務の問題に対して
1. 緊縮財政
2. 債務不履行と債務再編
3. 増税
4. 貨幣増発
という4つの選択肢が政治家にはあるが、貨幣増発がもっとも政治的に国民に受け入れられやすい。
国家が成長していく過程で、まずは金や銀などのハードマネーが使われ、その後金と銀との交換が約束される兌換紙幣へ移る、しかし兌換紙幣では発行できる貨幣量に限界がくるので、不兌換紙幣が発行される。お金を信用で創造しすぎて債務の価値が下がると、債務への信頼がなくなりハードマネーへと戻る。これが債務の長期サイクル。
「1700年以降に存在したおよそ750の通貨で、残っているのはわずか20%ほどで、そのすべて切り下げされている。」
実際アメリカの財政状況はコロナによるFRBの急速なバランスシート拡大に伴って悪化。
アメリカ政府の債務残高35兆ドルに。2020年のコロナ対策時前は23兆ドルだったのでここ5年間で約10%増加。
USDの貨幣も増発が続いています。5兆USDを超える水準です。マネタリーベースは一時期よりも減少しているものの2000年代初頭と比べると5倍以上に膨れ上がっていることがわかります。
戦後秩序の中で気づかれたアメリカUSDの基軸通貨としての地位が揺らぎ始めているのかもしれません。
米国通貨供給量の拡大がもたらす、ドルの価値の下落と金の上昇
2020年3月23日、米連邦準備制度理事会(FRB)は無制限の量的緩和を決定した。その後急速に拡大してきているのが米国通貨供給量だ。金の供給量は限定的であるのに対し米国通貨供給量の拡大は、世界の基軸通貨であるドルの通貨価値の下落と金価格の上昇を引き起こす可能性がある。
USDも歴史の例にもれず、いずれは切り下げられて消えていく運命にあるのかもしれません。
たろ
554ページあって読み切るのに相当気合いがいる本なのですが、国家がどのように力を得てどのように衰退していくのかが、過去500年間遡って分析されている壮大な内容となっていて経済・金融に興味のある方にはめちゃくちゃ興味深い内容なのでおすすめ。
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